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2026.06.27
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預り金が合わない原因|税理士が解説する仕訳ミスと管理のポイント【2026年版・更新】

会計ソフトの「預り金」が合わない!源泉所得税額とのズレ、よくある原因と正しい管理法を税理士が解説

「会計ソフトの『預り金』残高と、納付する源泉所得税の額が微妙に合わない…」
「給与計算は合っているはずなのに、なぜか預り金にズレが生じる…」

クラウド会計ソフトの普及で自計化(自社での経理処理)を行う会社が増える中、このようなお悩みを抱えたことはないでしょうか。

本記事は、以前公開したコラムをベースに、2026年4月から始まった「子ども・子育て支援金」への対応や、自計化の現場で実際によく見かける入力ミスのパターンを加えて更新したものです。会社の経理で特に重要な「源泉所得税の納付」について、会計ソフト上の「預り金」残高がズレてしまう主な原因と、ご自身でできる確認のポイントを、税理士が分かりやすく解説します。


そもそも、なぜ「預り金」と「源泉所得税納付額」は一致するのか?

給与や報酬を支払う際、会社は所得税を天引き(源泉徴収)し、それを一時的に「預かり」、後日まとめて国に納付します。この一時的に預かっているお金を管理するのが、会計上の「預り金」という勘定科目です。

freeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトは、給与計算や支払い処理を行うと、源泉所得税額を自動で「預り金」として計上してくれるように設計されています。

そのため、原則として、会計ソフトの「預り金」残高は、納付すべき源泉所得税の金額と一致します。


納付期限には「原則」と「納期の特例」の2種類がある

預り金のズレを考える前提として、源泉所得税の納付期限には2つのパターンがあることを押さえておく必要があります。どちらに該当するかによって、月々の預り金残高の見え方が大きく変わります。

原則(毎月納付)

給与や報酬から源泉徴収した所得税は、原則として徴収した月の翌月10日までに納付します。給与計算の都度、毎月納付を行う方式です。

納期の特例(年2回納付)

常時10人未満の従業員を雇用している会社などは、税務署への申請により「源泉所得税の納期の特例」を受けることができます。この特例を受けると、納付の回数が年2回にまとめられます。

  • 1月から6月に支払った分 → 7月10日が納付期限
  • 7月から12月に支払った分 → 翌年1月20日が納付期限

特例を受けている会社では、半年分の源泉所得税がまとまって預り金として積み上がっていくのが正常な状態です。原則どおり毎月納付している会社の感覚で「預り金が何ヶ月分も残っていておかしい」と判断してしまうと、実際には特例の範囲内で正常に積み上がっているだけ、ということもあります。逆に、特例を受けているはずなのに納付期限(7月10日・1月20日)を過ぎても預り金が減っていない場合は、納付処理の漏れが疑われます。

以下のCase 2では、説明を分かりやすくするため、原則(毎月納付)の場合を前提に解説します。納期の特例を受けている会社では、納付期限の部分を上記の7月10日・1月20日に置き換えて読み替えてください。


【原因別】預り金が合わない・ズレるケース

原則は一致するはずなのに、なぜズレが生じてしまうのでしょうか。自計化の現場でよく見かける原因を整理しました。

Case 1:入力ミスや計上漏れ

最もシンプルですが、意外と多いのがこのケースです。

  • 金額の入力ミス:給与計算や仕訳を手入力している場合に金額を間違えた。
  • 計上漏れ・二重計上:過去の納付処理を忘れていたり、誤って二重に計上したりしている。

まずは入力内容に単純な誤りがないか、過去の仕訳と給与明細、納付書などを照らし合わせてみましょう。

Case 2:給与の「締め日」と「支払日」のタイミングのズレ

これは、ズレの原因として非常に多いケースです。特に「月末締め・翌月10日払い」のような場合に起こります。なお、ここでは話を分かりやすくするため、源泉所得税を原則どおり毎月納付している会社を前提に説明します。納期の特例を受けている会社は、後述のとおり納付期限の部分を読み替えてください。

源泉所得税を徴収する(預り金が発生する)タイミングは、法律で「給与や報酬を支払った時」と定められています。

これを「月末締め・翌月10日払い」の例で見てみましょう。

  • 1月分の給与(1/1~1/31勤務分)
  • 支払日:2月10日
  • 源泉所得税の徴収日(預り金が発生する日):2月10日
  • 国への納付期限:3月10日

この流れで、2月末時点の「預り金」残高を確認するとどうなるでしょうか。

2月10日に徴収した1月分の源泉所得税が「預り金」として残っている状態です。これはまだ納付期限(3月10日)が来ていないため、1ヶ月分の源泉所得税が残高として表示されるのが正常な状態です。

【注意点:給与計算ソフトとの連携仕様】

ここは自計化の会社で特に見落とされやすいポイントです。給与計算ソフトと会計ソフトを連携している場合、仕訳が「支払日」ではなく「締め日」付で計上される仕様になっていることがあります。

  • freee人事労務とfreee会計を連携している場合は、原則として締め日付で仕訳が作成される仕様です。
  • マネーフォワード クラウド給与とクラウド会計を連携している場合は、設定により締め日付・支払日付のいずれかを選択できます。

この場合、月末時点の会計データ上にはすでに預り金が存在するのに、実際の納付は翌月以降になるため、月末ベースで見ると一時的にズレているように見えます。これは制度上の問題ではなく、連携仕様・設定によるタイミングのズレであり、最終的には解消されます。ただし自社がどちらの設定になっているかを把握していないと、ズレの原因が分からず不安になってしまうため、一度確認しておくことをおすすめします。

【締め日基準・支払日基準で「正常に残るべき残高」が異なる点に注意】

例えば「6月締め・7月払い」の給与で考えてみましょう。

  • 締め日基準で仕訳が作成される場合(freee人事労務との連携など):6月締め・7月10日払いの給与から生じる源泉所得税は、6月末時点で預り金として計上されます。この源泉所得税の納付期限は、支払日(7月10日)の翌月10日にあたる8月10日です。つまり6月末に計上された預り金は、7月10日を過ぎても残ったままで、8月10日の納付でようやく消えます。一方、7月末になれば次の「7月締め・8月10日払い」の給与から生じる源泉所得税が新たに計上されるため、8月10日に納付してもこの分が残ります。このように締め日基準では、計上時点と納付期限の間に約2ヶ月のズレがあり、月末時点で見ると常に「直近1ヶ月分」が預り金として残っているのが正常な状態です。
  • 支払日基準で仕訳が作成される場合:源泉所得税は実際に給与を支払った7月10日付で預り金として計上され、納付期限である8月10日までに納付すれば、その時点で預り金はゼロになるのが正常な状態です。

つまり、自社がどちらの基準で連携・計上しているかによって、いくら残っているのが正常かという基準そのものが変わります。締め日基準であれば月末ごとに直近1ヶ月分の残高があるのが普通ですが、支払日基準のはずなのに納付後も残高が残っている場合は注意が必要です。

なお、締め日基準の会社で「6月分を納付したのに、まだ預り金が残っている」ように見えるのは、その時点で計上されているのが実は6月分ではなく、すでに発生している7月分(次の月の締め分)であるケースがほとんどです。見た目の残高だけで判断せず、補助科目や品目で「どの月の源泉所得税か」を区別できるようにしておくと、こうした誤解を防げます。

この場合、繰り返しになりますが、

  • 納付処理そのものの計上漏れ・入力ミス
  • 過去の源泉所得税の納付が滞っている(滞納)

のいずれかが疑われます。「うちは支払日基準のはずなのに、納付したのに預り金が減らない」という場合は、単なるタイミングのズレでは説明がつかないため、早めに過去の納付状況を遡って確認することをおすすめします。

なお、納期の特例を受けている会社では、上記の「翌月10日」をそれぞれ「7月10日」または「翌年1月20日」に置き換えて考えます。締め日基準であれば、特例の対象期間(1月~6月分、7月~12月分)の源泉所得税が納付期限まで半年分まとまって預り金に残っているのが正常な状態です。納付期限を過ぎても半年分がそのまま残っている場合は、納付処理の漏れを疑いましょう。

Case 3:年末調整による「預り金」のマイナス

年末調整の結果、従業員に還付する税額(返しすぎた所得税)が、その後に徴収する源泉所得税額を上回ることがあります。

  • 例:12月分の給与で預かる源泉所得税が3万円なのに、年間の調整で還付すべき金額が5万円だった。

この場合、会社は2万円を「持ち出し」で還付することになります。会計ソフト上では、この状態が「預り金のマイナス残高」として表示されます。

これは「預かっているお金」以上に「還付すべきお金」が多い状態を示しており、年末調整後の正しい処理の結果です。このマイナス残高は、翌月以降に徴収する源泉所得税と相殺され、徐々に解消されていきます。

Case 4:士業への支払いが「純額」で計上され、源泉所得税が漏れている

自計化の会社で実際によく見かけるのが、このケースです。

税理士や司法書士など士業への報酬を支払う際、本来は報酬総額から源泉所得税を差し引いた純額を支払い、差し引いた源泉所得税は会社が預り金として計上し、後日まとめて納付する必要があります。

ところが、請求書に記載された支払額(差し引き後の純額)をそのまま「外注費」や「顧問料」として全額計上してしまい、源泉所得税分を預り金に計上していないケースが見られます。この場合、本来あるべき預り金が発生していないため、納付すべき源泉所得税額と会計上の預り金残高がそもそも合わなくなります。

請求書を起点に仕訳を入力する際は、請求書の「源泉徴収税額」欄を確認し、

  • 報酬総額を費用(顧問料・士業報酬など)として計上
  • 源泉所得税額を預り金として計上
  • 差額(純額)を支払金額として計上

という形で、グロスアップして計上することが必要です。純額だけを費用計上していないか、士業への支払いがある場合は一度確認してみることをおすすめします。

Case 5:子ども・子育て支援金の初期設定が空欄になっている(2026年4月~)

2026年4月から、健康保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました(翌月徴収の会社では2026年5月支給の給与から反映)。これは従来からある「子ども・子育て拠出金」(会社が全額負担)とは別の制度で、従業員負担分と会社負担分を労使折半する新しい仕組みです。

ここで自計化の現場でよく見かけるのが、給与計算ソフト側の設定が間に合っていないケースです。例えばfreee人事労務では、「子ども・子育て支援金(従業員負担分)」の品目が初期設定では空欄になっており、会社側で品目を設定しないと、預り金の仕訳に正しく反映されません。

健康保険料・介護保険料などと同様に、

  • 従業員負担分 → 預り金
  • 会社負担分 → 法定福利費

として品目・勘定科目を設定したうえで、給与計算ソフトと会計ソフトの連携設定が正しく反映されているか確認することをおすすめします。設定が空欄のままだと、預り金の残高に支援金分が反映されず、ズレの原因になります。


【会計ソフト別】残高を正しく管理するための重要ポイント

ズレを未然に防ぎ、日々の残高確認をしやすくするために、お使いの会計ソフトで少し工夫することをお勧めします。

ここで非常に重要な注意点があります。預り金がズレる最大の原因の一つが、源泉所得税と住民税、社会保険料など、性質の異なるものを同じ補助科目や品目タグで処理してしまうことです。これらを混在させてしまうと、源泉所得税の納付額と残高が一致しなくなるのは当然です。正しく分類することが、正確な残高管理の第一歩です。

マネーフォワード会計をご利用の場合

「預り金」の勘定科目に「補助科目」を作成するのが非常に有効です。「預り金」の中に「源泉所得税」「住民税」「社会保険料」といった補助科目を個別に設定しましょう。

これにより、それぞれの税金・社会保険料が明確に区別され、混在を防ぐことができます。総勘定元帳で「預り金/源泉所得税」の補助科目だけを見れば、納付額との照合が格段に楽になります。

freee会計をご利用の場合

freeeでは、取引の登録時に「品目」や「メモタグ」を活用すると便利です。

給与や報酬の支払い取引を登録する際に、「源泉所得税」「住民税」といった品目を明確に使い分けましょう。さらに「源泉所得税給与分」「源泉所得税報酬分」のようにタグで細かく分類しておけば、後から特定の源泉所得税だけを抽出して集計するのが容易になり、ズレの原因調査もスムーズに進みます。

【余談】補助科目・品目タグの「振り分けミス」も同じ症状を起こします

補助科目や品目タグを正しく設定していても、入力時にタグの選択を間違えてしまえば結局は同じことが起きます。例えば「住民税」のつもりで「源泉所得税」の品目を選んでしまった、複数の補助科目が混在したまま入力されている、といったケースです。設定そのものに加えて、入力時に正しいタグ・補助科目が選ばれているかのチェックも、預り金管理では欠かせません。


それでも解決しない…その不安、当事務所にご相談ください

「チェックリストを見ても、やっぱりズレの原因が分からない…」
「給与計算ソフトとの連携設定が、自社で合っているのか分からない」
「子ども・子育て支援金など制度変更への対応が追いついていない」
「毎月の給与計算から会計処理までの流れが複雑で、負担に感じる」

もし、このようなお悩みや会計処理の煩雑さに少しでも手間を感じるようでしたら、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

マネーフォワード・freeeを中心に、自計化されている会社の会計データを拝見し、預り金や社会保険料の連携設定、品目・補助科目の使い方を含めて確認させていただく「自計化チェック」のご相談を承っております。現状の確認からズレの原因特定、適切な修正、そして今後の効率的な経理体制の構築まで、丁寧にご支援いたします。

源泉所得税や社会保険料の管理は、企業の信頼に関わる重要な義務です。専門家の力を活用し、正確でスムーズな税務処理を実現しましょう。

なお、給与計算ソフトの設定や社会保険の取扱いに関する詳細なご相談は、社会保険労務士または年金事務所への確認が必要な場合があります。当事務所では、会計処理・税務の観点からのご支援を行っております。

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