COLUMN
コラム

2026.02.21
コラム

不動産オーナー・農家の確定申告で多い誤りクラウド会計と発生主義の基本を整理する

「確定申告は自分でやりました」
「法人の申告も自分でやってみました」
「会計入力は自分でやるから大丈夫です」

最近よく耳にします。

確かにクラウド会計(マネーフォワードやfreee)の登場により、経費入力はかなり楽になりました。

しかし、

入力が楽になったこと
会計を理解していること

これは別問題です。

そして多くの場合、帳簿が家計簿の延長になっています。


クラウド会計は諸刃の剣

残高が合っているから安心。

そう思っていませんか。

そもそも、その残高自体がズレているケースが少なくありません。

以前のコラムでも触れましたが、

現金残高がマイナス
会計帳簿と通帳残高が一致しない

これは論外です。

帳簿として成立していません。


発生主義という考え方

会計は原則として発生主義です。

売上は入金時ではありません。

物を引き渡したタイミング
サービスを提供したタイミング

つまり引き渡し日基準で考えます。

これは家計簿との大きな違いです。


【具体例】不動産オーナーの場合

例えば、大家さんのケースです。

家賃10万円
管理会社手数料1万円
実際の入金9万円

誤り
売上 9万円

正しい処理
売上 10万円
支払手数料 1万円

さらに、

12月分家賃
入金は1月5日

売上は12月です。

入金日ではありません。

もう一つよくある例です。

12月25日に入居者がクレジットカードで家賃決済
管理会社からの入金は1月

売上は12月25日基準です。

入金が1月だからといって1月売上にしてはいけません。


【具体例】農家さんの場合

例えば、

12月20日に野菜を出荷
JAが市場へ販売
振込は1月15日

売上は12月20日です。

入金日ではありません。

さらに、

販売金額100万円
JA手数料5万円
振込95万円

誤り
売上 95万円

正しい処理
売上 100万円
販売手数料 5万円

出荷日、引き渡し日が基準です。


クレジットカード加盟店の場合

例えば、

12月28日に商品販売
Stripe で決済
手数料差引後、入金は翌年1月

売上は12月28日です。

同様に、Square や PayPay でも同じ考え方です。

決済日=引き渡し日
入金日は関係ありません。

なお、これらはクラウド会計と連携すれば処理はかなり楽になります。

ただし、総額処理と発生主義を理解していなければ、誤りが自動化されるだけです。


なぜ総額と発生主義が重要か

売上総額は

消費税の免税判定
簡易課税の適用可否
課税売上割合

に直結します。

純額処理や入金基準は、消費税判定を誤らせます。


最低限の知識は必要

クラウド会計を使うなら、日商簿記3級程度の基礎知識は持っておくべきです。

今は動画サイトで無料講義も公開されています。

入力が簡単になった分、理解不足のまま進めるリスクはむしろ高くなっています。


まとめ

法人申告も自分でやる。
会計入力も自分でやる。

それ自体は否定しません。

しかし、

現金がマイナスになっていないか
帳簿と通帳が一致しているか
発生主義を理解しているか
総額処理ができているか

ここを確認せずに進めるのは危険です。

クラウド会計は便利ですが、理解が伴わなければ諸刃の剣です。


免責事項およびご相談について

本記事は一般的な税務上の留意点を解説したものであり、個別具体的な事情により取扱いは異なります。実際の申告にあたっては専門家へご相談ください。

当事務所は原則として顧問契約を前提とした継続的な関与を基本方針としております。

自己判断で進めた帳簿の修正や、申告期限直前の至急対応につきましては、特急対応や大幅修正が必要となる場合があり、通常より報酬が高くなる可能性があります。また、資料状況によってはお引き受けできない場合もございます。

令和8年3月15日申告期限分のご相談についても、内容により受任可否を判断させていただきます。

なお、愛知県内、特に 名古屋市 や 岡崎市 において、今後きちんと体制を整えて正しく処理していきたいとお考えの不動産オーナー様(大家さん)につきましては、状況に応じて当事務所で支援できる可能性がございます。まずは現状整理からご相談ください。