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【税理士が解説】飲食店・美容室で必須!レジ管理・レジ締め・現金管理の基本と注意点
飲食店や美容室など、店舗経営やサービス業を営む皆さまにとって、レジ管理とレジ締めは経営の基礎体力を支える業務です。
「毎日のルーティンだから」「POSレジにデータが残るから」と軽視すると、売上の把握が曖昧になったり、税務調査で不利になったりすることもあります。
本記事では、税理士の立場からレジ管理・レジ締めの基本、現金管理の正しい方法、そして経営者が注意すべきポイントを解説します。
1. レジ管理とレジ締めの基本
レジ管理とは?
レジ管理とは、日々の売上や決済方法を正確に記録・管理することです。
- 売上金額の入力
- 現金・クレジット・QR決済の区分
- 釣銭準備
- レシート・領収書の発行
こうした記録は、会計処理や税務申告の根拠となる最も基本的な部分です。
レジ締めとは?
営業終了後に、レジ内の現金残高とPOSレジやレジジャーナルの売上データを照合する作業です。
- 売上と現金残高の一致確認
- 過不足の有無を点検
- 翌日のスタート準備
毎日のレジ締めは、経営の信頼性を高めるために欠かせません。
2. レジ管理の具体的な方法と「売上=現金残高増加」の原理
開店時のレジ残高を毎日統一する
コンビニなどでスタッフが開店前にレジの現金を数えている光景を見たことはありませんか?
これは「開店時のレジ残高(釣銭)」を毎日一定額にそろえるためです。
こうすることで、閉店時の残高との差額がそのまま当日の現金売上として把握できます。
売上と現金残高の増加額は一致する
レジ管理の基本原理は、次の式で表せます。
当日の現金売上 = (閉店時のレジ残高 − 開店時のレジ残高)
例:飲食店のケース
- 開店時のレジ残高:30,000円(釣銭)
- 閉店時のレジ残高:150,000円(金種表で内訳確認済み)
- 差額120,000円 → 当日の現金売上
この金額は、POSレジやレジジャーナルに記録されている「現金売上」と一致しているはずです。
閉店時の金種チェック(金種表の活用)
閉店時には「金種表」を使い、レジ内の現金を
- 1万円札:〇枚
- 5千円札:〇枚
- 千円札:〇枚
- 500円玉:〇枚 …
と、金種ごとに数えて記録します。
これにより、
- レジ残高の正確な把握
- 過不足が出た場合の原因追及
- 翌日の釣銭準備の効率化
が可能になります。
不一致が起きた場合
もし「現金売上」と「残高差額」が一致しない場合、原因としては以下が考えられます。
- 入力漏れや誤操作
- お釣りの渡し間違い
- 不正利用や持ち出し
この確認を当日中に行わなければ、原因特定が困難になります。
だからこそ「毎日のレジ締め」が不可欠なのです。
3. 税理士が警告する「現金管理の落とし穴」
レジ締め後は必ず入金を
レジ締めが終わった現金は、可能な限り早く事業用口座に入金しましょう。
そのままレジに残しておくと、盗難・紛失のリスクが高まり、複数日の売上が積み上がることで管理も複雑になります。
💡個人事業主と法人では取り扱いが異なります
個人事業主の場合、現金の過不足が生じても「店主貸」「事業主貸」などで処理することが可能です。
しかし法人では、同様の処理ができません。
現金の差額が生じた場合には、役員による持ち出しや私的流用を疑われる可能性があり、税務調査で不利になることがあります。
そのため、法人ではレジ締め後の現金はできるだけ早めに事業用口座へ入金し、現金残高を正しく管理することが重要です。
レジ現金からの私的利用は絶対NG
税務調査では「売上とレジ残高の整合性」が厳しくチェックされます。
経営者がレジ現金から直接買い物をすると、私的流用や売上除外を疑われる原因になります。
備品購入であっても、レジ現金を使うのは避け、必ず事業用口座を経由して経費処理を行いましょう。
4. レジ管理・レジ締めを徹底するメリット
- 売上の正確な可視化
- 不正やミスの早期発見
- 経理業務の効率化
- 税務調査への対応力強化
- 従業員の責任感向上
作業負担やPOS導入コストはありますが、クラウド型POSや会計ソフトを活用すれば大幅に効率化できます。
まとめ:日々のレジ締めが「信用」をつくる
飲食業や美容業のように現金を扱う業種では、レジ管理とレジ締めは経営の信用を守る生命線です。
- 開店時の残高を統一
- 閉店時に金種表で確認
- 「売上=残高増加額」が一致しているか毎日検証
- レジ現金は必ず入金し、私的利用はしない
この習慣を守るだけで、経営の安定性と税務上の信頼性は格段に高まります。
当事務所では、POSレジやクラウド会計を活用した効率的な記帳代行・経理サポートを行っています。
「レジ業務をもっとラクにしたい」「税務調査に備えて売上管理を強化したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。