COLUMN
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2025.02.12
コラム

現金勘定は必要か否か

お客様のお悩み

こんにちは。クラウド会計専門税理士の安藤です。最近はありがたいことに、クラウド会計のマネーフォワード社やfreee社を通じて、会計ソフトの入力に関する相談(自分で入力してみたが、会計入力が正しいかわからない 等)を受けます。

ご面談時に実際の会計帳簿を拝見させていただくと、次の現象が生じている方が多い印象を受けます。

  • 帳簿上の現金残高がマイナスである。
  • 帳簿上の現金残高が非現実的な高額である。

帳簿上の現金残高と、実際の現金残高は一致するのが正しい。

これらの共通点として、実際の事業用のお財布や金庫にある現金とズレ(差額)が生じているという点です。

会計事務所の職員であっても、実際の金額と差額が生じてしまっていたり、帳簿上の現金がマイナスのまま入力してしまっている者もいます。先輩や上司から、実際の財布を用いて現金のマイナスが本来起こり得ないものであるものと学びます。(現実的に現金は紙幣、硬貨から成り立っています。仮に現金残高のマイナスが存在するのであれば、紙幣、硬貨を持っているだけで、お金がマイナスしていることになります。)職員は全ての帳簿残高には意味があることを教わります。

帳簿上の現金残高と、実際の現金残高に差異が生ずる理由

では、なぜそのような現象が起きるのでしょうか?

理由として次のような事象等が考えられます。

  • 一、プライベートと事業用の区分がない(支出する財布が一緒)から経費の支出を行っている。
  • 二、現金の売上計上が抜けている。
  • 三、現金以外の方法(クレジットカードやPayPayなどのQR決済)で支払いを行っているのにもかかわらず、帳簿上は現金から支払いとしている。
  • 四、会計入力が重複している。
  • 五、預金からの引落しが帳簿に反映されていない。

二から五は正しく入力していれば、ある程度問題解決ができます。当事務所でも会計ソフトの使用方法を説明し、修正をするよう指導しています。

では

プライベートと事業用の区分がない場合どのようにするのでしょうか。

国税庁(税務署)の指導

税務署は帳簿の記載の仕方において、

”事業用の現金の出し入れの状況を、取引順に記載する帳簿です。”

と、現金出納帳の意義を説明し、現金出納帳作成時のポイントとして、

”現金出納帳の記載は毎日行い、現金残高を必ず記載して、その日のうちに実際の現金と突き合わせることが大切です。”

”現金や預金、クレジットカードについては、事業用と私用と区別しましょう。”

”記帳の担当者、現金管理の担当者を決めましょう。”

としています。

つまり、

  • 事業用と私用(プライベート)の財布、金庫、レジを分けること。
  • 事業用の財布、金庫、レジの現金と、会計帳簿の現金残高のズレ(差額)が生じていないかチェックすること。
  • チェックは担当者が行うこと。

を求めていることになります。

現金勘定を利用して、実際の現金と突き合わせを行うべき人

事業として、現金(レジや金庫)を取り扱う商売である場合、帳簿の付け間違いや、レジの打ち間違い、その他やむを得ないアクシデント対策のため、現金突き合わせを行った際の記録(現金がいくら残っているか表す金種表)を残すことが推奨されます。金種表は税務調査の際の証拠書類(証憑書類)にもなります。

(この際のポイントとして、レジから経費精算のお金精算をおこなうと、突き合わせ時に差額が出る要因になります。レジや金庫は入金を管理する箱として取り扱います。もし、レジや金庫から出金をするのであれば、担当者・責任者のみが管理することが推奨されます。)

現金勘定を廃止できる人

しかし経費の支出時に使う事業用財布と私用(プライベート)財布を区分することは、現実的にはかなり困難です。この場合、事業として現金を持たないことが推奨されます。現金を持たない以上、現金の突き合わせを行う必要もありません。

経費として支出が生じる場合、特に推奨すべき方法として、

法人用(事業用)のクレジットカードを利用することです。この場合、その後の経費精算を行う必要なくすことが可能になりますし、また会計ソフトと連携すれば、会計入力の手間が軽減されます。

やむを得ず現金支出が必要な場合も、支出時には個人事業主または役員・従業員に立て替えを依頼し、給与支払い時にまとめて振り込むことによって、手元に現金を置く必要がなくなります。

この場合事業用の現金が存在しないため、現金勘定を設ける必要がなく、

帳簿上の現金残高がマイナスである。帳簿上の現金残高が非現実的な高額である。

といった現象を防ぐことができます。

免責事項

当事務所の見解が一部含まれており、すべての納税者に該当するわけではありません。上記方法により処理し、税務調査等で指摘を受けた場合も、当事務所では一切の責任を負いかねます。

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