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2025.03.12
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税理士が徹底比較|個人事業主と法人設立、どっちが得?メリット・デメリットから選び方まで解説【開業・創業編1】

【税理士が徹底比較】個人事業主と法人設立、どっちが得?メリット・デメリットから選び方まで解説

「自分のアイデアで事業を始めたい!」
そう決意したとき、多くの人が最初に直面するのが「個人事業主としてはじめるか、法人を設立するか」という問題です。

自由な働き方、収入アップ、キャリア形成など、創業の目的は人それぞれ。しかし、事業形態の選択は、将来の税金、信用力、事業の成長性に大きく影響します。

そこで今回は、創業を考えるあなたのために、「個人事業主」と「法人(株式会社)」のどちらが適しているのか、メリット・デメリットを徹底比較し、専門家の視点から「あなたに合う」選択肢を解説します。

一目でわかる!個人事業主と法人(株式会社)の違い

まずは、両者の違いを一覧表で見てみましょう。

比較項目 個人事業主 法人(株式会社)
設立・開業の手間 簡単
(税務署に開業届を提出するだけ)
複雑
(定款作成、登記、社会保険・税務手続きなどが必要)
設立コスト ほぼ0円 約25万円~
(定款認証や登録免許税など)
社会的信用度 法人に比べて低い傾向 高い
(取引や採用、融資で有利)
責任の範囲 無限責任
(事業の負債は全財産で負う)
有限責任
(原則、出資額の範囲で責任を負う)
資金調達 融資のみ 融資に加えて「出資」も可能
会計・税務申告 比較的シンプル 複雑で、税理士への依頼が一般的
税率 所得税(5~45%)
※累進課税
法人税(約15~23.2%)
※所得に応じて変動
節税の選択肢 限定的 役員報酬や退職金など、選択肢が豊富
社会保険 国民健康保険・国民年金 健康保険・厚生年金に強制加入
赤字の場合の税金 所得がなければ所得税・住民税はかからない 赤字でも法人住民税(均等割)が最低約7万円発生
事業承継 手続きが煩雑になりがち 株式の相続でスムーズに行える
廃業の手間 簡単
(廃業届を提出するだけ)
複雑
(清算手続きに時間と費用がかかる)

【税理士が解説】あなたはどっち?3つの判断基準

表を見ても「じゃあ、自分はどっち?」と悩んでしまいますよね。
ここでは、あなたがどちらを選ぶべきか、3つの判断基準をご紹介します。

判断基準1:売上・利益の見込み

一つの目安は「年間の利益(所得)が800万円を超えるか」です。
個人の所得税は利益が上がるほど税率も高くなる「累進課税」です。利益が800万円~900万円を超えると、個人の税率が法人税率を上回る「タックス・クロス」が起こり、法人の方が税負担上有利になるケースが多くなります。

  • スモールスタートしたい、利益がそこまで見込めない → 個人事業主
  • 初年度から高い利益が見込める → 法人

判断基準2:取引先や事業内容

誰と、どのようなビジネスをするかも重要なポイントです。

  • 一般消費者向け(BtoC)の事業、許認可が不要 → 個人事業主
  • 大企業や官公庁と取引したい(BtoB)、建設業など許認可で法人が必須 → 法人

法人でないと契約しない、という企業は今でも少なくありません。社会的信用度が求められる事業なら、法人設立を検討しましょう。

判断基準3:将来のビジョン

事業をどこまで大きくしたいですか?

  • まずは副業から、自分のペースで働きたい → 個人事業主
  • 積極的に資金調達して事業を拡大したい、従業員を雇いたい → 法人

エンジェル投資家からの「出資」や、複数の人で事業を行う場合は、法人格が必須となります。

まとめ:あなたに合ったスタイルで、最適なスタートを

個人事業主と法人のどちらが良い・悪いということはありません。あなたの事業計画や将来のビジョンに合わせて、最適な形態を選ぶことが成功への第一歩です。

  • 個人事業主がお勧めな方: まずは手軽にスモールスタートしたい方。初期費用や維持費を抑えたい方。
  • 法人設立がお勧めな方: 社会的信用を重視し、将来的に事業を大きく成長させたい方。節税も視野に入れたい方。

なお、最初は個人事業主として始め、事業が軌道に乗ったタイミングで法人化する「法人成り」という選択肢も非常に有効です。
次回のコラムでは、この「法人成り」で得られる節税効果について詳しく解説する予定です。


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