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2025.05.8
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記帳代行と自計化、どちらがおすすめなのか?【会計入力編2】
はじめに
会計業務において、「記帳代行」と「自計化」のどちらを選ぶべきかは、事業の規模や体制、経営者の志向によって異なります。
以前のコラムでは両者の概要を解説しましたが、今回はより具体的に、実際の違いや判断のポイントをご紹介します。
記帳代行と自計化の比較
比較項目 | 記帳代行(当事務所におまかせ) | 自計化(ご自身で入力) |
---|---|---|
費用のイメージ | 会計ソフト代不要。利用内容に応じた料金体系 | freeeや弥生などのソフト代が必要 |
初期設定 | すべて当事務所が対応 | 勘定科目や初期設定の理解が必要 |
日常の作業負担 | 月1回、資料提出だけ(20〜60分程度) | 毎日入力が必要(1日10〜30分程度) |
会計処理の判断 | 専門家が内容確認し適切に処理 | 自分で仕訳判断と入力が必要 |
入力の正確性 | 記載漏れや分類ミスをチェック | ミスに気づきにくく精度に差が出ることも |
数字の把握タイミング | 月次報告で確認可能 | 自分で確認しないと気づけない |
決算・申告時の対応 | 整った帳簿でスムーズに対応 | 帳簿の不備で慌てることも |
経営への活用 | 融資や経営判断に使える帳簿をご提供 | 分析スキルがあれば活用可能 |
給与計算との連携 | 社労士の紹介・連携も可能 | 別途ソフト契約や自己対応が必要な場合も |
※補足:マネーフォワードには、一定人数まで無料で使える給与計算プランがあります(時期・プランにより異なります)。一方、弥生会計やfreeeでは、給与計算ソフトが別契約となることが多いため、ご注意ください。
解説と選び方のポイント
表のとおり、記帳代行は専門家によるチェックと処理が前提となるため、帳簿の正確性や税務対応において安心感があります。
一方で、自計化は日常の業務の中で一定の作業負担が発生し、会計知識や操作スキルも求められます。
「自計化は経費節減になる」とお考えの方も多いですが、処理ミスが蓄積した結果、年末や決算直前に大量の修正が必要となり、
かえって申告費用が高額になったり、場合によっては希望する税理士に断られてしまい、税理士探しに苦労するケースもあります。
実際、当事務所にも「別の税理士に断られて困っている」というご相談が寄せられることがありますが、
中には帳簿の整合性が取れておらず、税理士として到底お引き受けできない水準の方もいらっしゃいます。
税理士は税理士法に基づき業務を行っており、税理士法違反に該当する可能性があると判断される場合には対応できません。
節税や事務負担軽減を目的に自計化を検討されること自体は問題ありませんが、
ご自身の業務負担・パソコンリテラシー・正確性の優先度などを踏まえ、無理なく継続できる方法を選ばれることをおすすめいたします。