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2025.01.22
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マネーフォワードとfreee、どっちを選ぶ?税理士が徹底比較|クラウド会計編4

マネーフォワードとfreee、会計ソフト選びの最終決戦!

この記事は2025年1月時点の情報に基づき作成しており、価格や従量課金分について改正がある場合があります。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。

これまでのコラムでは、クラウド会計とインストール型会計ソフトの比較などを行ってきました。今回は、クラウド会計ソフトの中でも特に利用者が多く、常に比較対象となる「マネーフォワード クラウド(以下、マネーフォワード)」「freee(フリー)」の2大巨頭に絞って、その違いを徹底的に比較・解説します。

結論ファースト!あなたの会社はどっち向き?

詳細な比較の前に、当事務所がお客様の状況に応じて、どちらのソフトをおすすめすることが多いか、結論からお伝えします。

マネーフォワードがおすすめな方 freeeがおすすめな方
法人、または法人成りを見据えた個人事業主の方。
特に、会計だけでなく、給与計算・請求書発行・経費精算など、複数のバックオフィス業務を効率化したいと考えている場合。

【理由】
給与計算などの周辺システムも、一定の範囲で追加料金なく利用でき、全体のランニングコストを抑えやすい傾向にあります。

簿記の知識に自信がなく、まずは会計入力を簡単に済ませたい個人事業主の方。

【理由】
会計の知識がなくても直感的に入力しやすく、給与計算などが不要な場合(役員報酬のみ、専従者給与のみなど)は、シンプルに利用できます。

根本的に違う!両ソフトの「設計思想」

なぜ上記のような結論になるのか。それは、両ソフトの成り立ち、「設計思想」が全く異なるからです。

マネーフォワード:「各専門ソフトの連携」で全体最適を目指す

マネーフォワードは、従来の会計ソフトの考え方に近く、「会計」「給与計算」「請求書発行」「経費精算」などが、それぞれ独立した専門ソフト(プロダクト)として提供されています。これらのソフトを必要に応じて連携させて使うことで、本格的で拡張性の高い経理体制を構築できます。

freee:「会計ソフト内での一体型」でシンプルさを追求

freeeは、簿記を意識させない新しい思想で設計されています。「会計ソフト」という一つの大きな箱の中で、請求書発行から売掛金の管理までが一体となって完結するイメージです。これにより、ユーザーは難しいことを考えず、シームレスな操作感で経理を進められます。

この「設計思想」の違いが、料金体系や具体的な機能にどう表れているのか、以下の詳細な比較表と解説でご確認ください。

【要約比較表】マネーフォワード vs freee

項目 マネーフォワード freee
自動仕訳の思想 AIの推測を必ず人がチェックして登録する思想。 AIの推測に基づき、人のチェックなしで自動登録が可能。
レシート読取(AI-OCR) 従量課金制。(※別製品利用でカバー可) プラン料金内で枚数無制限。
請求書・売掛金管理 「クラウド請求書」という別プロダクトで管理。 freee会計内で完結。
給与計算・人事労務 一定人数まで追加料金なしで利用可能。 原則として別契約・追加料金が必要。

各機能のさらに詳しい解説

自動仕訳登録について

両システムとも、AIが過去の取引内容などから勘定科目・消費税区分・取引先・取引内容を推測する機能を備えています。しかし、その後の登録プロセスに思想の違いがあります。

マネーフォワードは、AIが推測した入力内容を、必ず人(入力担当者)がチェックしてから登録するフローになっています。請求書等の連携時も、必ず入力内容のチェックが必要です。これにより、意図しない仕訳が登録されるのを防ぎます。

freeeは、AIが推測した内容を人の目を通さず、自動で登録することが可能です。例えば、毎月発生する家賃のような反復継続した取引の場合、この機能は非常に便利です。また、freee請求書の発行と同時に会計仕訳も完了させることができるため、会計入力の手間が軽減されます。

AI-OCR(レシート読取)について

両システムとも、PCやスマートフォン、タブレットのカメラを使ってレシート等を読み取り、入力補助として利用できます。

マネーフォワードの場合、標準機能では月に6枚目から従量課金制となります。ただし、「マネーフォワード クラウド経費」という経費精算システム(別プロダクト)を併用することにより、基本料金内で6枚以上のレシートを処理することも可能です。

freeeの場合、従量課金制ではなく、freee会計のプラン料金内ですべて完結します。また、登録したクレジットカードの明細と読み取ったレシート情報を紐づけることができるため、二重で経費計上してしまう、といったミスを防ぎやすいのが特徴です。

債権債務管理(請求書・売掛金管理)について

マネーフォワードでは、売掛金や買掛金の管理は「マネーフォワード クラウド請求書」という、会計ソフトとは別のプロダクトで行うのが基本です。会計ソフト本体で、直接的に売掛金の消込などを行うことはできません。

freeeでは、freee会計内で請求書発行から売掛金の入金管理(消込)までを一気通貫で行えます。売掛金の消込を行うと、その内容が会計帳簿の仕訳に同時に反映されるため、業務がスムーズです。

人事労務関係について

マネーフォワードは、プランによりますが、一定の人数までは追加料金なしで「マネーフォワード クラウド給与」を利用できます。会計の料金の範囲内で、給与計算、年末調整、社会保険関連の機能まで使えるのは大きなメリットです。

freeeは、原則として「freee人事労務」の契約が別途必要になり、追加料金(月額2,000円~)が発生します。

まとめ:将来の事業像に合ったパートナーを選びましょう

ここまで見てきたように、単純な料金や機能の有無だけで、両ソフトの優劣を決めることはできません。自社の経理を誰が、どこまで行い、将来的にどのような体制にしたいのかを考え、事業のパートナーとして最適なソフトを選ぶことが重要です。

当事務所は、マネーフォワードの「公認メンバー」であり、freeeの「認定アドバイザー」でもあります。どちらか一方を無理に勧めるのではなく、お客様の現状と将来のビジョンを丁寧にヒアリングし、中立的な立場で最適なソフトと運用方法をご提案しています。

ソフト選びでお悩みの際は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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