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クラウド会計導入のメリット・デメリット【インストール型ソフトと徹底比較】|クラウド会計編2
会計ソフト選び、「クラウド型」と「インストール型」で悩んでいませんか?
前回のコラムでは、クラウド会計ソフトを利用すると、税法のルールに沿った正しい帳簿が作成しやすい点をご説明しました。しかし、会計ソフトには大きく分けて「クラウド型」と、PCにソフトを導入する従来型の「インストール型」があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
「結局、自分の会社にはどちらが合っているのだろう?」そうお悩みの方も多いのではないでしょうか。この記事では、両者を徹底的に比較し、そこから見えてくる「クラウド会計のメリット・デメリット」を明らかにしていきます。
【一覧比較】クラウド会計 vs インストール型会計ソフト
まずは、両者の違いを一覧表で見てみましょう。どのような点で違いがあるのか、全体像を掴んでください。
比較項目 | クラウド会計 | インストール型会計ソフト |
---|---|---|
導入コスト | 初期費用が低く、月額・年額制が多い。 | 買い切り型が一般的で初期費用は高め。 |
利用環境 | ネット環境があれば、PC・スマホ等どこからでも利用可能。 | ソフトを導入した特定のPCでのみ利用可能。 |
アップデート | 税制改正などに自動で対応。常に最新版を利用できる。 | ユーザー自身での更新作業やコストが発生。 |
データ管理 | データはクラウド上に自動保存。災害時のリスクが低い。 | PCや自社サーバーに保存。自己でのバックアップが必須。 |
セキュリティ | サービス提供者の高度なセキュリティに依存。 | 自社でデータを管理できるが、自社の対策が求められる。 |
複数人での利用 | 複数人が同時にアクセス可能。税理士との連携もスムーズ。 | 追加ライセンスやサーバー設定が必要な場合がある。 |
長期コスト | サブスクリプション料金のため、長期的には高くなる場合がある。 | 長期間使用する場合、トータルコストを抑えられる可能性がある。 |
比較してわかる!クラウド会計を選ぶメリット
上記比較から、クラウド会計のメリットは「効率化」と「柔軟性」にあることがわかります。
- メリット1:場所や時間を選ばない柔軟な働き方を実現できる
インターネットさえあれば、事務所・自宅・外出先など、どこからでも経理作業が可能です。テレワークとの相性も抜群です。 - メリット2:法改正やアップデートの手間から解放される
頻繁に行われる税制改正や機能改善に自動で対応してくれるため、常に最新かつ最適な環境で会計処理を行えます。 - メリット3:入力の自動化で経理を圧倒的に効率化できる
銀行口座やクレジットカードを連携させることで、取引明細が自動で取り込まれ、仕訳候補もAIが提案してくれます。これにより、手入力の手間とミスを大幅に削減できます。 - メリット4:データ共有で税理士との連携がスムーズになる
会計データをリアルタイムで税理士と共有できるため、問題点の早期発見や、迅速なアドバイスが可能になります。
クラウド会計のデメリットと注意点
もちろん、クラウド会計にもデメリットや、導入前に知っておくべき注意点が存在します。
- デメリット1:インターネット接続が必須
最大の弱みは、インターネット環境がなければ一切操作ができない点です。オフラインでの作業はできません。 - デメリット2:ランニングコスト(月額・年額費用)がかかる
買い切り型のインストールソフトと違い、利用し続ける限り費用が発生します。ただし、アップデート費用やサーバー管理費用がかからない点を考慮すれば、一概に高いとは言えません。 - デメリット3:手入力のスピードは環境に依存する
大量の仕訳を手入力する場合、インターネットの回線速度によっては、オフラインで軽快に動作するインストール型ソフトにスピードで劣る場合があります。
【要注意】スマホの自動入力機能の”落とし穴”
クラウド会計の便利な機能として、スマートフォンのカメラでレシートを撮影するだけで、日付や金額を自動で読み取ってくれる「AI-OCR機能」があります。
このため、「スマートフォンで入力しているから、会計入力の確認は不要」というご相談をいただきますが、それは大きな誤解です。
AIによる読み取り精度は100%ではなく、取引内容や勘定科目の判断は、最終的に人の目で行う必要があります。あくまで「入力補助機能」と捉え、必ず内容が正しいかを確認する癖をつけましょう。
まとめ:自社のスタイルに合ったソフトを選ぼう
クラウド会計とインストール型会計ソフト、どちらが優れているということではありません。手入力のスピードを最優先するならインストール型に軍配が上がる場面もあるでしょう。
しかし、「手入力を極力減らす」という方向で業務全体を効率化していきたいのであれば、その利便性においてクラウド会計が優れていると、私たちは考えます。
自社の働き方や、将来目指す経理体制を見据えて、最適な会計ソフトを選択することが重要です。もしソフト選びに迷ったら、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。