COLUMN
コラム

2025.01.11
コラム

クラウド会計導入のメリット・デメリット【インストール型ソフトと徹底比較】|クラウド会計編2

会計ソフト選び、「クラウド型」と「インストール型」で悩んでいませんか?

前回のコラムでは、クラウド会計ソフトを利用すると、税法のルールに沿った正しい帳簿が作成しやすい点をご説明しました。しかし、会計ソフトには大きく分けて「クラウド型」と、PCにソフトを導入する従来型の「インストール型」があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。

「結局、自分の会社にはどちらが合っているのだろう?」そうお悩みの方も多いのではないでしょうか。この記事では、両者を徹底的に比較し、そこから見えてくる「クラウド会計のメリット・デメリット」を明らかにしていきます。

【一覧比較】クラウド会計 vs インストール型会計ソフト

まずは、両者の違いを一覧表で見てみましょう。どのような点で違いがあるのか、全体像を掴んでください。

比較項目 クラウド会計 インストール型会計ソフト
導入コスト 初期費用が低く、月額・年額制が多い。 買い切り型が一般的で初期費用は高め。
利用環境 ネット環境があれば、PC・スマホ等どこからでも利用可能。 ソフトを導入した特定のPCでのみ利用可能。
アップデート 税制改正などに自動で対応。常に最新版を利用できる。 ユーザー自身での更新作業やコストが発生。
データ管理 データはクラウド上に自動保存。災害時のリスクが低い。 PCや自社サーバーに保存。自己でのバックアップが必須。
セキュリティ サービス提供者の高度なセキュリティに依存。 自社でデータを管理できるが、自社の対策が求められる。
複数人での利用 複数人が同時にアクセス可能。税理士との連携もスムーズ。 追加ライセンスやサーバー設定が必要な場合がある。
長期コスト サブスクリプション料金のため、長期的には高くなる場合がある。 長期間使用する場合、トータルコストを抑えられる可能性がある。

比較してわかる!クラウド会計を選ぶメリット

上記比較から、クラウド会計のメリットは「効率化」と「柔軟性」にあることがわかります。

  • メリット1:場所や時間を選ばない柔軟な働き方を実現できる
    インターネットさえあれば、事務所・自宅・外出先など、どこからでも経理作業が可能です。テレワークとの相性も抜群です。
  • メリット2:法改正やアップデートの手間から解放される
    頻繁に行われる税制改正や機能改善に自動で対応してくれるため、常に最新かつ最適な環境で会計処理を行えます。
  • メリット3:入力の自動化で経理を圧倒的に効率化できる
    銀行口座やクレジットカードを連携させることで、取引明細が自動で取り込まれ、仕訳候補もAIが提案してくれます。これにより、手入力の手間とミスを大幅に削減できます。
  • メリット4:データ共有で税理士との連携がスムーズになる
    会計データをリアルタイムで税理士と共有できるため、問題点の早期発見や、迅速なアドバイスが可能になります。

クラウド会計のデメリットと注意点

もちろん、クラウド会計にもデメリットや、導入前に知っておくべき注意点が存在します。

  • デメリット1:インターネット接続が必須
    最大の弱みは、インターネット環境がなければ一切操作ができない点です。オフラインでの作業はできません。
  • デメリット2:ランニングコスト(月額・年額費用)がかかる
    買い切り型のインストールソフトと違い、利用し続ける限り費用が発生します。ただし、アップデート費用やサーバー管理費用がかからない点を考慮すれば、一概に高いとは言えません。
  • デメリット3:手入力のスピードは環境に依存する
    大量の仕訳を手入力する場合、インターネットの回線速度によっては、オフラインで軽快に動作するインストール型ソフトにスピードで劣る場合があります。

【要注意】スマホの自動入力機能の”落とし穴”

クラウド会計の便利な機能として、スマートフォンのカメラでレシートを撮影するだけで、日付や金額を自動で読み取ってくれる「AI-OCR機能」があります。

このため、「スマートフォンで入力しているから、会計入力の確認は不要」というご相談をいただきますが、それは大きな誤解です。

AIによる読み取り精度は100%ではなく、取引内容や勘定科目の判断は、最終的に人の目で行う必要があります。あくまで「入力補助機能」と捉え、必ず内容が正しいかを確認する癖をつけましょう。

まとめ:自社のスタイルに合ったソフトを選ぼう

クラウド会計とインストール型会計ソフト、どちらが優れているということではありません。手入力のスピードを最優先するならインストール型に軍配が上がる場面もあるでしょう。

しかし、「手入力を極力減らす」という方向で業務全体を効率化していきたいのであれば、その利便性においてクラウド会計が優れていると、私たちは考えます。

自社の働き方や、将来目指す経理体制を見据えて、最適な会計ソフトを選択することが重要です。もしソフト選びに迷ったら、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。