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クラウド会計で帳簿が乱れる?自計化で注意すべき5つのポイント 【会計入力編4】
クラウド会計を導入したものの、
「現預金の残高が合わない」
「帳簿をつけているはずなのに申告に不安がある」
といった声を多く耳にします。
こんにちは。クラウド会計に強い税理士の安藤です。
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトは、銀行やクレジットカードの連携、自動仕訳ルールの設定によって、従来よりも会計入力が容易になりました。
その一方で、「気づかないうちに帳簿が乱れてしまっている」というケースも多く、当事務所にも日々ご相談が寄せられています。
今回は、クラウド会計を用いて自計化を進める際に、帳簿が「グチャグチャ」にならないための注意点を解説します。
※本記事ではクラウド会計を前提に記載していますが、インストール型ソフトでも同様の注意が必要です。
よくあるご相談内容
- 現金や預金の残高が実際の数字とかけ離れている
(現金勘定の扱いについては、前回のコラムをご参照ください) - 帳簿が税務要件を満たしていない(取引先・内容・証憑などの記録不備)
帳簿が乱れないための5つのポイント
1. 連携データは必要最小限に
クラウド会計では、銀行やカードの明細を簡単に連携できますが、
事業と無関係な口座やカードまで連携してしまうと、帳簿が混乱する原因になります。
個人のプライベートカードなど、明らかに不要なものは連携しないのが基本です。
2. 自動仕訳ルールを定期的に点検する
自動仕訳は便利な反面、誤った勘定科目が設定されているまま放置されることも少なくありません。
例えば、freeeで「無視」、マネーフォワードで「対象外」を選ぶと、帳簿残高と実際の明細が不一致になります。
・個人事業主の場合:「事業主貸」などで調整
・法人の場合:「役員借入金」や「役員賞与」などの適切な処理を行いましょう
3. 手入力の精度を意識する
freeeのファイルボックスや、マネーフォワードのAI-OCR機能など、読み取り補助ツールはありますが、あくまで補助的なものです。
取引先名や取引内容など、判断が必要な情報はご自身で確認・入力する必要があります。
4. 入力の手間を減らす工夫をする
入力の手間が多いと、ミスや漏れの原因になります。
次のような工夫で、手入力を減らすことが可能です:
- 事業用クレジットカード・デビットカードの利用
- Amazonビジネスなどの定型取引の自動化
- 給与計算や請求書ソフトとクラウド会計の連携
5. 証憑書類の保管は必須
帳簿の正確性を担保するためにも、レシート・領収書・請求書・通帳などは毎月きちんと保管しましょう。
スキャン保存を希望される場合は、法的要件を満たす必要があるため、税理士への相談をおすすめします。
会計ソフトだけで完結できるのか?
最近では「会計ソフトだけで確定申告までできる」「税理士いらず」といった広告も見られます。
確かに、適切な処理ができる方にとってはその通りです。
しかし、帳簿の記載要件を満たしていないと、青色申告特別控除の取り消しや消費税の仕入税額控除の否認といったリスクがあります。
場合によっては、税理士費用を上回る税負担が生じることもあります。
不安を抱えながら帳簿をつけるよりも、「入力は自分で、確認は税理士に」という形で適切に分担するのも一つの方法です。
最後に
当事務所では、クラウド会計を使った自計化支援や、記帳代行にも対応しています。
「できるところまでは自分でやりたいけど、不安がある」
そんな方は、お気軽にご相談ください。
※本コラムは2025年5月8日に一部内容を修正・更新しています。