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2025.05.9
コラム

経理が整う口座とカードの選び方【経営管理編1】

〜レシート探しに追われない。融資対応もスムーズに。〜

「レシートがどこかにいってしまった…」
「この経費、どの口座・カードから払ったんだっけ?」
そんな小さな混乱が、経理を苦痛にし、経営判断を遅らせる原因になります。

しかし実は、“事業用の口座や支払い方法を少し整理するだけ”で、
日々の経理はぐっとラクになり、経営全体もスムーズに回るようになるのです。

今回は、当事務所が顧問先に強くおすすめしている「口座と支払手段のルール化」について、
その意義と、具体的な進め方をご紹介します。

1. 口座とクレジットカードは「分ける」より「絞る」

  • 事業用のメイン口座を1つに決める
  • 経費支払い用のクレジットカードを1枚に固定する

これにより、通帳明細やカード明細が1本化され、帳簿作成が圧倒的にラクになります。

クレジットと口座を1つにまとめるメリット
  • 支払日や金額の把握がしやすくなり、資金ショートを防げる
  • 資金繰り表の作成や残高管理が簡単に
  • 融資を受けている場合も、資金の流れや運用状況が明確になり、金融機関とのやりとりがスムーズに

複数のカード・口座を管理するのは「分散」ではなく「混乱」です。
まとめることが、もっともシンプルで確実な整理術になります。

2. 経費精算もキャッシュレス・一本化を

現金とクレジットが混在していると、支払い方法ごとに記録・仕訳が必要になり、経理が煩雑になります。

特に現金払いは記録が残りにくく、証憑が不足しやすいリスクも。
可能な限りキャッシュレス(例:原則クレジット払い)に統一することで、
支払情報が自動で明細化され、記帳の正確性も高まります。

やむを得ず現金を使う場合は、用途を明確にし「補助的な支払い手段」として限定することがポイントです。

3. 口座やカードが多すぎると、実はデメリットが大きい

銀行口座が多いと…
  • 資金残高が分散して見えにくくなる
  • 入出金の確認に手間がかかる
  • 利用頻度の低い口座にも維持コストがかかる
クレジットカードが多いと…
  • 明細の突き合わせが複雑で、記帳ミスや漏れが起きやすい
  • 支払い時の確認・処理が手間になる
  • 引落し日・金額がバラバラになり、キャッシュフローの予測が困難に

「なんとなく」で使っている口座やカードは、
経理負担・経営判断の遅れ・資金繰りの乱れにつながります。

4. カードの使い分けには“工夫”を

  • 楽天カードや三井住友NLカードなど、ブランド違いで2枚発行し、1枚を事業用・1枚をプライベート用にする
  • ビジネスカードやオーナーズカードを別途発行し、事業専用にする

名義や用途を明確に分ければ、帳簿の精度が高まり、税務調査対応もスムーズになります。

5. 自計化している方にも大きなメリット

会計ソフトを使って自分で経理をされている方(自計化)にとっても、
口座やクレジットカードの整理は非常に有効です。

支払方法がバラバラだと、入力時の確認や仕訳設定に迷いが生じ、ミスやストレスの原因になります。

一方、取引の流れがまとまっていれば、クラウド会計の自動連携の精度が上がり、ルール設定もシンプルになります。

つまり、自計化が継続しやすくなる・効率的になる・精度が上がるという効果が期待できるのです。

6. 整ったお金の流れは、融資の場面でも信頼につながる

  • 売上や経費の動きが複数の口座に分かれていて追いにくい
  • 融資先銀行とは別の口座でお金が動いており、運用状況が分かりづらい

こうした状態では、融資の目的に沿った運用が行われているか判断しづらくなり、
追加で資料提出や説明を求められることがあります。

わかりやすく整理された資金管理は、金融機関との対話をスムーズにし、信頼の一因となります。

7. “整理する経営”は、すべての事業者の味方

口座とカードの整理は、税理士事務所のためではなく、
経理・資金繰り・税務・融資…あらゆる面で事業者自身を守る手段です。

  • レシートがすぐ出てくる
  • 何をどこから払ったかすぐにわかる
  • 帳簿作成・納税・融資説明までがスムーズになる

「資料整理=面倒な作業」ではなく、
「会社を守り、育てるための土台」として、今日から始めてみませんか?

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